角交換四間飛車を指しこなすための本

2012/09/07将棋戦法, 書籍, 角交換振り飛車, 電子書籍

将棋倶楽部24にも その時々の流行戦型があって、タイトル戦で出た戦法がなんとなく流行ったりします。久保九段が棋王・王将の二冠を持っていたときは、三間飛車・ゴキゲン中飛車が大流行していました。

最近は、藤井先生が王位に挑戦したお陰か、将棋倶楽部24の低級タブでも角交換四間飛車が少し流行っています。王座戦で羽生二冠が指したことでさらに増えるかもしれません。私も藤井先生を見習って、角交換四間飛車を指すようにしています。


さて、角道を止める四間飛車であれば 藤井信者の聖典とも言える「四間飛車を指しこなす本」を始めとして 良書がたくさんあるのですが、角交換四間飛車の本は意外に少ないです。今回は その中から私が読んだ角交換四間飛車の本の紹介したいと思います。


将棋世界2012年3月号 別冊付録 先手“角交換”四間飛車(門倉啓太四段)。

最近、角交換四間飛車を多く指されている門倉四段による解説。たった80頁の付録ですが、角交換四間飛車の狙い筋を一問一答形式で説明しており、角交換四間飛車を始めたい人には 最も良い内容だと思います。

残念ながらiPad版の電子書籍である「将棋世界」には付録は含まれていないので、紙の雑誌を買う必要があります。既にアマゾンにも中古在庫しかないようですので、「付録があるか」確認してからご購入ください。

先手番での解説なので、角交換四間飛車側からの急戦(仕掛け)が多く書かれています。攻め筋も逆棒銀・8五桂ポン・交換した角打ち等が解説されていて、攻め好きの振り飛車党にはピッタリ。私も攻めるのが好きなので、藤井システムや本付録のようにガンガン攻めるのは棋風に合ってる気がします。

後手側の陣形も対局によく現れる6三銀型・7三銀型・3筋位取りが一通り解説されており、最初に角交換四間飛車を学ぶには最適の本だと思います。

ただ、付録80頁ではさすがに分量が不足していて、実戦では物足りない部分もあります。ぜひとも1冊の本にまとめて欲しいものです。


よくわかる角交換振り飛車 (著者は横山泰明五段)。

角交換系の振り飛車全般についての入門書。角交換四間飛車の説明は30頁。さらに10頁の復習問題(10問)がついています。先の将棋世界付録よりも版形の分だけ中身も多いですし、ゴキゲン中飛車などの項にも共通する攻め筋があります。

平美濃から急戦する場合も、相手が銀冠や穴熊に組んできたときの対処も一通り書かれています。こちらは後手の立場で書かれているので、先手番の将棋世界付録と合わせて読むとちょうど良いですね。

本書はシナノブックから電子書籍版が出ています。ただ、シナノブックの電子書籍はマイナビ版とちがって盤面が動かないのが難点(そのせいか紙の書籍より割安に買えます)。

目次:

  • 序章 角交換型振り飛車の特徴
  • 第1章 ゴキゲン中飛車対丸山ワクチン
  • 第2章 △3三角戦法
  • 第3章 角交換型四間飛車
  • 第4章 角交換型石田流
  • 第5章 その他の角交換振り飛車(2手目△3二飛戦法、ダイレクト向かい飛車、端歩位取り角交換型振り飛車)
  • コラム1 流行調査
  • コラム2 タイトル戦で現れた角交換振り飛車



角交換振り飛車 基礎編(著者は鈴木大介八段)。

こちらも角交換振り飛車全般の本。続編の角交換振り飛車 応用編は中飛車や端歩突き越し形の解説なので、角交換四間飛車を学ぶのであれば基礎編だけでも充分だと思います。

本書には門倉四段の付録には収録されていないけども、良く出てくる変化(逆棒銀から飛車交換を狙ったときに8七歩と打たれるとか)が詳しく解説されていますので、こちらも押さえておくと便利。これは知らないと受けにくいので。

なお、本書は浅川書房のサイトにて一部立ち読みできます。

目次:

  • 第1章 ▲7七角戦法
  • 第2章 ダイレクト四間飛車
  • 第3章 スピード角交換戦法



角交換振り飛車畠山成幸七段著)。 今回称する本の中ではもっとも古い2005年の出版。平美濃からの急戦については書かれておらず、高美濃や穴熊に囲ってからの持久戦が主。

高美濃・穴熊に組んだあとの変化を詳しく知りたい場合は買っても良いとが、まずは「将棋世界付録」や「よくわかる角交換振り飛車」を読むのが先。それで足りない場合や持久戦になる場合を押さえる場合には良いと思う。

そもそも穴熊を目指すのであれば角交換振り穴スペシャルや、(角交換系じゃないけど)広瀬章人七段の四間飛車穴熊の急所も出ているし。

目次:

  • 第1章 美濃囲いでの戦い
  • 第2章 穴熊囲いでの戦い
  • 第3章 居飛車角交換拒否の戦い



本当は藤井猛先生に角交換四間飛車の本を書いて欲しいのですが、研究を公開することになっちゃうから無理かな。もっともっと タイトル戦の方で頑張って欲しいし。

追記:

門倉先生の角交換四間本が出版されます。予約してありますので、届き次第記事を書く予定。


一読した感想:角交換四間飛車を指す人はとにかく買え!ですね、この本は。

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