動きが書かれている将棋駒って本当に必要? (2)

動きが書かれている将棋駒って本当に必要? (1)の続きです。

前回は動かす方向や動かし方が何らかの形で示されている駒を一覧しました。今回はそれらの駒についての考察です。

用途による分類

デザイン駒の用途は「子供や入門者」と「駒字が読めない人」向けの2種類に大別できる。後者は海外普及用と言い換えても良いだろう。さらに「ネット上で利用」する場合と「物理的に駒を使う」場合や、「最終的には普通の駒を使いたい」のか「デザイン駒のままでも良い」かでも考え方は異なってくるだろう。

「海外普及用」であれば、デザイン駒は有用だと思う。これは駒名や用語も同様で、特にチェスが普及している地域ではチェスに合わせて教えたほうが初学者が取りつきやすい※1。さらに「ネット対局用」なら、双方が同じデザインの駒を使う必要もないので、さらに有効性が増す。デザイン駒だけでも十分な人もいるだろう。

※1 将棋の海外伝播などについてのブログ: 将棋駒の英語名称についてのメモ

日本の初心者向けは?

日本の初心者の場合は他のゲームに似せる必要も無く※2、最終的にはよくある普通の盤駒を使って対局するのが目標の1つになるだろう。

※2 むしろ、チェスの駒の動きを将棋駒になぞらえて覚えた人が多いと思う。私もそうだった。

この場合、デザイン駒は「入門者が最初の一時期だけ、導入を楽にするため」に用いるものとなる。三輪車や補助輪付き自転車のようなものだろうか。この場合、デザイン駒に求められるのは「初級者の興味を引く」もので「その後の学習を阻害しない」ことが重要となる。補助輪付き自転車に慣れてしまうと補助輪を外すのが大変だったりするが、デザイン駒にもそのような危険性はある。

キーボードを使って文章を入力するとき、ほとんどの人はキーボードは見ずに画面だけを見て入力している。その方が早いし、思考を阻害しない。将棋も同様で上級者になればなるほど目の前の盤面ではなく、脳内の盤面を使っているはずだ。キーに文字が書いてあるからキーボードをつい見てしまうという弊害を避けるために、無刻印のキーボードさえ売られている※3。駒にも動きが書かれていれば、それを見てしまうのは避けられないだろう。駒の動きは(最終的には)全て脳内に納めてしまうべきだと考える。

※3 例:PFU Happy Hacking Keyboard Professional BT 無刻印/墨。私も無刻印キーボードを使っている

三輪車のような将棋

そうは言っても最初からフルセットの将棋を覚えるのは大変である。なるべく少ない学習量で将棋の楽しさが伝わった方が良い。楽しさがわかれば、将棋の駒を記憶するのは(特に子供なら)簡単である。

三輪車は二輪車とは全然違う乗り物だが自分で移動する楽しさは味わえるし、二輪車に移行する時も邪魔にはならない。最小サイズのどうぶつしょうぎは、三輪車のような将棋セットだと思う※4
覚えることは非常に少なく、それでいて面白く、奥が深い。幼い子供に将棋を教えるなら最良の教材だと思う(駒が大きくて飲み込めないサイズであるのもポイントが高い)。

ちなみに、おおきなサイズのどうぶつしょうぎも存在するが、そちらは補助輪付き自転車だと思う。私はおすすめしない。

※4 どうぶつしょうぎ

デザイン駒が有用な場面は?

家庭で子供や家族に教える場合は、どうぶつしょうぎ→普通の将棋に進むのが良い。ではデザイン駒はどのような場合に使えるだろうか?

駒の動きがほとんどわかっているのだが、うろ覚えな部分がある場合は有効だと思う※5。だが、そのような状態はすぐに卒業してしまうので、わざわざ買うのは少しもったいない。子供が集まるイベントなら駒の動きがうろ覚えの人も来るので、その場合は良いかなあ。あとは、どうぶつしょうぎだと子供っぽくて嫌がる子供向けか。

※5 私がチェスを覚えたときは底面に動きが書かれた駒を使っていて、動きが怪しくなった時はひっくり返して確認していた。将棋の駒は裏も使っていてこの手は使えないのが残念。

いずれの場合も、将棋を続けるのであれば普通の盤駒に移行することになるので、移行の手助けになるような駒が望ましい。大きなサイズのどうぶつしょうぎは駒の名前と動きを覚え直すことになるので、この点に問題がある。対戦相手の大人も困ってしまう(猫は金だっけ。銀だっけ?)。

くもんやエポックの将棋セットは駒名が漢字で書かれていて、本将棋への移行も考えられている。ただ、子供用を意識してかサイズの問題なのか1文字駒なので、大会などで使っている駒に移行するのは(ちょっとだけ)悩むかもしれない。将棋の駒は水無瀬や錦旗など色々な書体があって美しいけど、特に成り駒は判別するのは大変なんだよな。

結論

初めて将棋を学ぶ人には どうぶつしょうぎ→普通の将棋駒 が良いと思います。どうぶつしょうぎは書店でも売られているので、入手するのは難しくないと思います。

普通の将棋セットが地域によっては意外に入手困難。100均のものは質があまり良くないのでおすすめできないし、ポータブル(マグネット)のものは掴みにくいんだよね。
文房具屋に折れ盤セットがあればそれを買って、なければ通販かなあ。

塩ビ将棋盤とプラスチック製駒水無瀬書のセット

ほとんどのデザイン駒はわざわざ買う必要はないと思います。子供に教えたいけど家族が誰も将棋を指せない場合ぐらいでしょうか。

コメント

  1. より:


    うまたせさん、おはようございます。

    なるほど、9マス将棋というのもありましたね。将棋の入門ならこちらでも良いかもしれません。

    どうぶつしょうぎが良いのは将棋っぽくないので、単に親御さんと遊びたいぐらいの子供を引き込むことができることだと思います。特に女の子だといきなり将棋は難しいこともあるので。

  2. うまたせ より:


    確かに駒の動かし方を覚えるだけなら一覧表を見ながら指せばすぐ覚えられるのでデザイン駒はわざわざ買う必要は無いですね。
    入門者用としてはどうぶつ将棋よりも9マス将棋のほうが個人的にはおすすめですね。
    少しづつ駒の動かし方も覚えられるし、3手先読みの連続なのでこの前の紐がわからない子の勉強にもいいかもしれません。