米長永世棋聖・ボンクラーズ電王戦感想
今回はニコニコ生放送にて生中継されていますが、twitterでも中継されてたりするので、twitter 引用を交えつつ感想を。
- 米長邦雄永世棋聖 vs ボンクラーズ プロ棋士対コンピュータ 将棋電王戦
- 先手ボンクラーズアピール文書(WCSC21)
- 後手米長邦雄永世棋聖
- 電王戦対決中!! 序盤は米長永世棋聖が有利か? 戦いの行方はニコ生を見よ!!
#ShogiLive 渡辺明>開始が遅れていますねぇ。シビアにやるなら、ボンクラーズ側の持ち時間から引くべきかと思いますが。対局中のトラブルに関しては規定がありますが、開始前は無かったような気がします。
— 日本将棋連盟モバイル (@shogi_mobile) January 14, 2012
対局開始時間がボンクラーズ準備遅れ?のため20分遅れる。前日はB1,B2の順位戦が深夜まで行われていて設定作業ができなかったのかな?
(記者会見の際の説明によると、1台のサーバーブレードがディスクをマウントできなかったとか。前日に動作確認してたのに、ということらしい。何か身につまされるような話だな。担当者顔面蒼白だったろうなあ…)
人間同士なら、遅刻した側が遅刻時間の3倍を持ち時間から引かれるのですが(持ち時間)、今回はそのような取り決めがなかったらしい。初回でもあるし、難しいところですね。次回からは時間引かれるかもね。
使用機器は「いよいよ決戦迫る! 米長永世棋聖vs.ボンクラーズの将棋電王戦両者の思いとは?」によると、「富士通のブレードサーバーを利用します。大きさとしては小さい冷蔵庫くらいで、最大8台までサーバーをつなげられます」「結局6台のサーバーをつなげることにして」ということですので、これ 「PRIMERGY(プライマジー) ブレードサーバ BX400 S1 」ですかね。6台ってのがブレードのことだとすると12CPUなのかな? (6CPUかもしれない)。結構電気食うんですよね。将棋会館って古い建物だし、電気系統は弱そうですからねえ。(追記:NHKニュースにサーバー映ってました。BX400S1の縦置きっぽいです)
← amazonでも売ってるのだな、ブレードサーバー。amazonから買ってどうするんだろう(^_^;
追記:米長会長宅のボンクラーズが1秒間に170万手、今回のボンクラーズが1800万手、およそ10倍の局面を読めるということですので、10倍以上のCPU能力がありますね。「24はじめました: A級リーグ指し手1号」によると「(将棋倶楽部24に参戦しているボンクラーズは)マシン1台です。スレーブ1コア×5ノード。バージョンは違いますが、マシンパワー的には※会長宅PCとほぼ同じです」ということですので、会長宅では6コアのCore i7-3960Xあたりを1コア+5コアで使っているのでしょうか? ブレード側はE5607の2.26GHzを使ってるとすると、6ブレード*2CPU*4コア=48コア。10倍弱。クロック数はブレードサーバー側が遅いと思われるので、その差はキャッシュの大きさで取り返せているのか、はたまた会長宅のマシンはちょっと遅めなのか。このへんはもうちょっと情報でてこないとわかりません。
ちなみに読める局面数が10倍に増えると2手ぐらい深く読める計算になりますが、それはどう影響するんでしょうか。対局後記者会見の米長会長は「違いを感じなかった」と言ってましたが。
さらに追記:「電王戦観戦記 ほかではあまり語られない舞台裏」に詳細ありました。「ブレードサーバーは富士通の『PRIMERGY BX400 S1』」「6枚に抑えられた。サーバーブレードは、CPUが2つ載せられる『BX922 S2』を使用。CPUはXeon X5680(6コア/3.33GHz)、メモリーは24GB、64GBのSSD」とのことです。6ブレード*2CPU*6コア=72コアか。これなら10倍以上の能力になりますね。
初手7六歩に米長永世棋聖はまさかの6二玉。「将棋電王戦プレマッチ」のときにも採用し、惨敗していただけにまったく予想していませんでした。 これは「勝つにはこれしかない」というところまで追い込まれているという証拠でもありますね。将棋ソフト開発者のtweetでは:
2手目は☖6二玉だったのか。プロなら正々堂々と受けて立って欲しかった。
— 高田淳一 (@junichi_takada) January 14, 2012
ある意味初めて人間の本気を見た気もする。今までの人間強豪ーコンピュータでは皆結局は自分の将棋を指してた。
— 棚瀬寧 (@tanaseY) January 14, 2012
意見が分かれていますけど、私は棚瀬さんに賛成だな。研究した結果、6二玉しかないと。面子よりも勝ち目を選んだということで、米長さんは現役の勝負師だと分かる。 ただ、この戦法は対人では使えないので、コンピュータ将棋のために こんな研究をするのは現役の棋士には難しいだろうと思う。来年の対戦者である船江さんはどうされるのだろうか?
追記:記者会見にて、「6二玉」はBonanza開発者保木さんの案だとの説明。そういえば、BonanzaのGPW2006発表資料に、評価関数の問題点として「61玉」が例として上げられているんだよね。単に定跡を外しただけではなく、ボナンザメソッドの弱点を突いた作戦だったということだ。
さらに追記:電王戦評価値・読み筋: A級リーグ指し手1号
グラフをみても分かるが、米長永世棋聖は序中盤はうまく指し回して、二手目6二玉にいる劣勢から挽回し ほぼ互角まで持ち込んだが、一手のミスを咎められている。二手目6二玉が奇策ではないことがわかる。 / / “電王戦評価値・読み筋: A級リ…” http://t.co/iFbaNdVb
— ず (@zu2) January 18, 2012
中盤、ボンクラーズが一人千日手っぽいことを始める。コンピュータは良い手が無いと平気で無意味な手待ちをするんだよね。ここまで追い込んだのは素晴らしいと思う。ただ、この状態についても棚瀬さん、itumonさんの指摘が鋭い。
#ShogiLive 渡辺明>え、53手目は▲6六同飛? これは一人千日手ですね。続く△6五歩に飛車をどこに逃げるか。▲3六飛だと純粋な手損になります。
— 日本将棋連盟モバイル (@shogi_mobile) January 14, 2012
なんか千日手という話が出てるけど、絶対にありえないと思う。この局面はボンクラーズは+300とかの評価をしてるだろうから、打開が難しいと思ったら飛車とか玉の位置を変えたりして延々と同一局面4回を避けてきて何万手でもかかってしまう。
— 棚瀬寧 (@tanaseY) January 14, 2012
ただそうなれば千日手ですが、先手が「嫌」と思えば、同一局面4回にしなければ良いので、飛車を細かく動かしたり、玉を細かく動かしたりで、千日手の局面には中々なりそうにないですね。で▲7八飛と。と言う事はやはりボンクラーズさんは千日手をやる気はさらさらないと
— itumon (@itumon) January 14, 2012
一瞬の隙をついてボンクラーズが攻勢に。これが隙だと分かるのはどのレベルなんだろうなあ。竜王は気がついてたのかどうかが気になる。
左図の局面では既に敗勢のようです。
#ShogiLive 渡辺明>どちらを持つかと言われたら……先手かなぁ。後手陣は上ずっているので間違えやすい。
— 日本将棋連盟モバイル (@shogi_mobile) January 14, 2012
#ShogiLive 渡辺明>83手目▲7六歩まで。ここから△同歩▲同銀△7五歩▲同銀△同銀▲同飛となったら、気分は投了です。以下△同金なら▲同角、放置すると▲2五飛や▲7四飛があります。気分ではなく投了です。だからこうはならないと思います。
— 日本将棋連盟モバイル (@shogi_mobile) January 14, 2012
#ShogiLive 渡辺明>90手目△8四金まで。米長邦雄永世棋聖困ったですね、本当に。
— 日本将棋連盟モバイル (@shogi_mobile) January 14, 2012
もう、このあたりから解説の雰囲気が暗くなってました。コンピュータ将棋の解析だとまだまだですけど、プロ的には終わってるんでしょうね。
#ShogiLive 渡辺明>113手目▲7五銀打を見て、米長邦雄永世棋聖が投了を告げました。以下は△5五玉に▲6六銀打△4四玉▲3六桂△3五玉▲2六金までの詰みとなります。
— 日本将棋連盟モバイル (@shogi_mobile) January 14, 2012
#ShogiLive 渡辺明>角交換を挑まれて後手が困りました。全体的にコンピュータらしいという手はなくて、我々と同じように普通の手を積み重ねていく感じです。5年前のボナンザとは比較になりません。
— 日本将棋連盟モバイル (@shogi_mobile) January 14, 2012
#ShogiLive 渡辺明>もし再びコンピュータソフトと指すとしたら、5年前のようにな油断はできないですね。普段の大きな対局に臨むような心構えで向かうと思います。
— 日本将棋連盟モバイル (@shogi_mobile) January 14, 2012
電王戦は113手でボンクラーズの勝ちとなりました。米長永世棋聖が押し気味に駒組みを進めましたが、一瞬の隙を突かれた形です。日本将棋連盟モバイルでご覧いただいた皆様、ありがとうございました。(編集長、五段遠山)
— 日本将棋連盟モバイル (@shogi_mobile) January 14, 2012
ニュースでは「プロ棋士が敗れるのは初」って書いてるところもあるけど、「元」だからね。現役辞めて8年経ってるし。
- asahi.com(朝日新聞社):将棋ソフト、米長元名人に勝利 正式対局で初 – 文化
- コンピューター将棋、米長邦雄永世棋聖を下す : 文化 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
- 米長永世棋聖コンピューターに敗北 NHKニュース
- 将棋:米長永世棋聖 コンピューターソフトに敗れる – 毎日jp(毎日新聞)
- 米長氏、将棋ソフトに敗北 永世棋聖も歯が立たず – 琉球新報
- 米長氏、将棋ソフト「ボンクラーズ」に敗北 – MSN産経ニュース
- 将棋ソフトは人間を超えた!? 「ボンクラーズ」が米長会長を撃破 | 日刊SPA!(ボンクラーズ写真あり)
- 永世棋聖の米長氏、将棋ソフトに敗北
- 米長永世棋聖、無念…将棋ソフトに敗れる (1/2ページ) – 社会 – SANSPO.COM
- 将棋ソフトは人間を超えた!? 「ボンクラーズ」が米長会長を撃破 | 日刊SPA!
- 米長永世棋聖「築いた万里の長城、穴が開いた」 電王戦敗北後の会見 全文(1/6ページ) | ニコニコニュース
- 電王戦観戦記 ほかではあまり語られない舞台裏
- 米長永世棋聖を下したボンクラーズの「計算力」:ニュース
- コンピュータ将棋協会blog » 第1回将棋電王戦はコンピュータ将棋が勝利、新時代へ
- 第1回将棋電王戦の一日を振り返る まるで巌流島の決闘 | 日刊SPA!
来年は5対5だとーーー
— ず (@zu2) January 14, 2012
現在記者会見が行われており、第2回電王戦は5対5の団体戦で来年行うという構想が発表されました。棋士側は既に決定している船江四段プラス4名、コンピューター側は今年の選手権の結果を踏まえて決定されます。どうぞお楽しみに。(編集長、五段遠山)
— 日本将棋連盟モバイル (@shogi_mobile) January 14, 2012
来年は5対5でやるとの発表!これはびっくり。船江さんはそのままで、他に4人。コンピュータ側はWCSC21独創賞の「なのは」が5位までに入ったら、でてくるんだろうか? また、同時に対局するとしたら「合計2800W制限」になるのかな? それはコンピュータ側がきつそうだけど。
リンク:
- いよいよ決戦迫る! 米長永世棋聖vs.ボンクラーズの将棋電王戦両者の思いとは?
- 「プロ棋士対コンピュータ 将棋電王戦」 第2回戦 対局者決定!! | イベント|お知らせ・イベント情報:日本将棋連盟
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対局棋譜:
(kifファイル)
ボンクラーズによる形勢判断:
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