「詰めろ」という概念
人が数を数えることを学んでからも、長らく数字としての0や負数は認識されていなかった。
今では0や負数は小学校や中学校で習う概念であり、それが認識されない状態は、かえって簡単には理解しにくいように思う。
将棋の世界で学習しづらい概念は?
自然数や加減乗除、有理数までは認識するのは容易なのだと思う。どの言語にも割合を表す単語はある(半分, half, quarter 等々)
将棋の世界でも駒の価値の順序や駒得の概念詰将棋までは自然に到達できるように思われる。
(「自然に」というのは小中学生の野良将棋で強い人に教わることなく気づく、ぐらいの感覚です)
そして、数学の0や負数や虚数に相当するような、自力での到達は難しいけれども習ってしまえば当たり前、むしろそれが認識できないのことが理解できないような概念が将棋の世界にもあると思う。
例えば、詰めろ・必至や手筋には普通の素人は自然に到達できるものなのでしょうか?
私は小学生のころはかなり野良将棋を指したものだが、これらの概念には到達できなかった。ネット将棋を指すようになってもわからなかったし、棋書を読んで理解したときには「なんで早く教えてくれなかったんだよー」と思ったものだ。
最近観戦した対局から
最近、近所の焼き鳥屋さんにIngressと将棋の愛好家が集まって対局とゆんたくを楽しんでいる。近隣には碁会所はあるが将棋道場はないので、私にとっては対人将棋が指せる貴重な場だ。
そこで最近あった対局の一局面。
スマホカメラでの記録も撮っていないので、記憶に頼って再現してみます。
おおむねこのような終盤。既にビールを何杯も飲んでいてうろ覚えなので、持ち駒や細かい配置は誤っているはず……
先手は初級者、後手は級位者ぐらいの棋力です。
相矢倉からの終盤。4九角で飛金両取りをかけた後手が金を取って先手玉に迫っています。後手良さそうですが、外野のアドバイスもあり縺れた終盤になっていきます。
上図から▲3一銀△3二玉▲2三飛成△同玉▲2二飛△同銀▲同角成△2四玉と進んで下の局面になりました。
(激指先生の解析では途中で長い即詰みもあったようですが、私も含めて酔っ払いに分かるわけもなく……)
この先手番の局面、慣れた人なら先手玉は多分詰まないので2五銀2六銀と打って詰めろかけて勝てるのではないか、と読むように思います。
詰めろ逃れの上手い手があったら降参ということで。
王手は追う手
ところが、先手は2三金のような手を考えてるのですよ。私も将棋再開してしばらくは王手から考えていましたし。
ここで詰めろをかけて手番を渡しても勝てるという発想には、自力ではなかなか到達できないように思います。
「王手は追う手」という諺もある程に、王手をかけたくなるのが人情なのかもしれません。
棋書を読もう
詰めろ・必死や手筋は自分で発見するよりも書籍を読んで学んだ方が効率的です。読みの深さが浅くなった大人は特に。
参考までに、私が読んで目から鱗が落ちた本を書いておきます。寄せが見える本は今でも時々読み返しています。
少し理解が進んでからは下記の本もお勧めです。羽生の終盤術は長手順の詰みが当たり前のように出てくるので、きちんと理解することは私もできていません。
それでも、初級者が終盤の方針としてどう指すべきかの構想を得ることができる良書だと思います。
ディスカッション
コメント一覧
ず@将棋さん、おはようございます。
質問させてください。
「詰めろについて」
それが、局面を意味する用語なのか、着手を表す用語なのか・・
それについてのお考えをどこかで述べておられたように記憶しています。
また拝見したいのですが見当たりません。
どちらに書いてあったのでしたか?
よろしくお願いします。
エルゴさん、こんばんは。ブログ購読ありがとうございます。
詰めろについての記事はこれだと思います:
「一手スキ」は「詰めろ」ではなかった? | ず’s 将棋
https://shogi.zukeran.org/2017/06/06/ittesuki-not-tsumero/