将棋の本はなぜ難しいのか?

2018/04/20書籍, 読み物

子供は対局するだけで将棋が強くなるので羨ましいと思う。大人は対局時間を捻出するのも大変なので、手っ取り早く本を読んで強くなろうと思うのだが、これがなかなか難しい。

書店に行くと初心者・初級者向けと書かれた本も目につくのだが、私も含めて大抵の人は難しい本を買って挫折してしまう。後に残るのは積ん読の山だ。なぜ難しい本を買ってしまうのだろうか?

棋書を読むためのスキル

将棋の本は日本語で書かれているし、局面図もある。いかにも読めば理解できそうな感じだ。しかし、これが罠だ。実は棋書を読むには小説や技術書を読むこととは別の技能が必要である。そこに気づかずに購入すると、「あれ、思ったよりも難しいぞ!」となって、挫折してします。

棋書を読むためには、例えばこのようなスキルが必要だ。

  1. 符号(例:▲7六歩)が即座に理解できる。盤面を探さなくても位置がわかる。
  2. 局面図をある程度脳内で動かせる。脳内盤がある。
  3. 局面の分岐を追ったり戻ったりできる

1については慣れてもらうしかないとして、2以降が問題になる。

脳内盤の有無

棋書には局面図が掲載されているが、限られた紙面で説明するため重要な局面しか掲載されていない。比較的やさしめの本でも局面図から10手近く進むことも多い。

まったくの初心者なら3手も進んだらお手上げだし、まして5手進むのは無理だ。仕方がないので、盤駒をそばに置いて並べながら読んでも、本と盤面を行き来しているうちにわけがわからなくなる。

結局、初心者のうちは1手ごとに図があるような書籍でないと読むのは難しいだろう。初心者は1手詰の本からスタートすべきだし、ある程度の棋力がある初級者でも1-3手詰の本を読んで棋書のスタイルに慣れる必要がある。

3手や5手詰が脳内で解けるようになったら、簡単な次の1手問題や指しこなす本に進んでも良い。

局面の分岐

大抵の将棋の本は以下のフォーマットで書かれている。局面図から候補手を数手選んで、その中から消去法で良い手を選ぶ。

  • 局面図を提示する
  • ここでAと指したら………悪くなる
  • なので、Bと指したら……悪くなる
  • 結局、Cと指して……これで良し(あるいは互角)

何ページも先に進んだ挙句、悪手だと言われても困ってしまう。先に言えよ。

そうは言っても「将棋の手はほとんどが悪手」※1なので、良い手を探すためにはしらみつぶしに悪手を消していくしかない。そのために、このような書き方になってしまうのだが、この書き方には2つの欠点がある。

  1. 人間は先に見たものを覚えてしまう。あとでこれを打ち消すのは難しい
  2. 分岐を覚えることがそもそも難しい。多段階に枝分かれするとお手上げ

将棋というゲームの性質上、指し手の評価が消去法になってしまうのは仕方がない。しかし、この欠点は書き方次第で幾分か緩和できるはずである。例えば、悪い手は最初に悪手と明記しておく、分岐図を冒頭に示しておく等である。最近は分岐図のある棋書も増えているので、書店で選択する際にはこの点もチェックすると良い。

※1 将棋世界2006年8月号「羽生善治、将棋の《今》を語る」 p.16

おすすめ本

初心者には1手詰-3手詰の本、その次の段階は簡単な次の1手問題(将棋世界付録など)、指しこなす本が良いでしょう。将棋世界の付録は安いし、紙面が小さいために長い棋譜が出てこないのも利点です。

そして「書店で立ち読みして筋が追えない本は買わない」ようにしましょう。 (でも、わかっていても、ついつい買っちゃうんだよなあ。なんでだろ?)





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