駒落ち戦のすすめ(3) 覚えたての人は果てしなく初心者である

2016/12/27将棋入門, 駒落ち

将棋を始めたばかりの初心者は何級相当なのだろうか? 直接比較するのは難しいので子供のころに将棋を覚えた人を介して推測してみる。

私が駒落ちで対局した感触では、子供のときに将棋を指したことがある方は私と8-10枚落ちの手合い。同じ方と10級の方の差は6枚-8枚落ちの手合い。大雑把に計算すると20級ぐらいだろうか?
レジャー白書によると15歳以上の将棋人口は800万人台。その大半はこれぐらい(20級)の棋力だと思う。

駒の並びを覚えたばかりの初心者はこの20級の大人に比べて更に8-10枚落ちになる。10級以上の差がある。

結局、駒の並べ方がわかる程度の初心者は30級を超える級位、そこからある程度指せるようになったレベルが20級ぐらいだと思う。後者は小学校の学級最強ぐらい(学校によっては学年最強)の強さ。

※ 定跡書や大人の指導を受けてなく、同レベルの相手と遊んで指している場合。ガチ小学生は除く

駒の動かし方を覚えた程度の方は30級ぐらい?

道場規定 of 谷本誠一将棋サロン」のWebによると四段と8枚落ちが16級差、10枚落ちが25級差、裸玉が30級程度の差になっており、初心者は11級〜20級、超初心者は21級〜30級となっている。道場によっては30級を超える級位もあるらしい。

初心者は30級超だと考えれば良さそうだし、将棋クエストや将棋ウォーズが最初は30級から始まっているのは妥当だと思う。

子供のころに覚えた人

私のように子供のころに遊びで将棋を覚えた人は、30級から20級までの苦労を都合よく忘れていることが多い。最初から20級ぐらいの力はあったつもりになっている。
外国語を学ぶ苦労は覚えているけど母語を学んだ苦労なんて覚えていないのと一緒。親や周りの人が頑張って言葉を教えてくれたのを忘れて、自分一人で勉強したつもりになっている。

なので、超初心者・初心者との対局も最初から平手にしてしまいがちだ。教える側もヘボなら勝ったり負けたりで良い勝負になるかもしれないが、教える側がそれなりに勉強した人なら初心者にはまず負けない。
連戦連勝してしまうと、初心者は心が折れて将棋を辞めてしまうかもしれない。

将棋を覚えたての人には10枚落ちですら難しい。裸玉でも勝ててしまったりする。それぐらいの差があることは忘れないようにしたい。

コンピュータ将棋と遊ぶ場合

30級〜20級ぐらいの人は、強い将棋ソフトとの対局は10枚落ちでも勝てないと思う。弱いことで定評のある「こまお」の10枚落ちでも難しいかもしれない。
「将棋の遊び部屋」の「にゅうもん」なら20級の人は将棋になるかな? 

ハム将棋(5-8級程度?)にうっかり挑んで虐殺される人が多いのも無理はないと思う。

そこそこ将棋が指せるつもりの上級者・有段者の方は強い将棋ソフトと駒落ち下手で対戦すると面白いと思う。私は激指に6枚で勝つのにかなり苦労しました。8枚と6枚の差が大きくて、下手の気持ちが少しだけわかった気がする。

学習の面から

平手で負け続けても将棋の勉強はできるかもしれないけど、どこまで自分が上達したのかがわかりにくい。体重計に乗らずにダイエットしているようなものだ。
駒落ちであれば徐々に手合い差が縮んでいくので、習う側も教える側も習熟度がわかりやすいし目標も立てやすい。

目標の例としては「田辺こども将棋教室ブログ: 段、級位の目安」に掲載されている駒落ちによる級位の目安と、その級位で習得する技術の表が良いと思う。習う側にも教える側にも参考になる素晴らしい表だと思う。

結論

先崎先生も駒落ちのはなしにて書かれていますが、入門したばかりの方とは駒落ちで対局してあげてください。
ある程度指せる方からすると相手は果てしなく初心者です。10枚落ちにさらに10枚落ちぐらいの手合い差です。最初は裸玉から。



駒落ち戦のすすめ(4) 番外編 | ず’s 将棋」に続く。

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