封じ手を間違えた話(続)

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藤井先生が羽生王位に挑戦している王位戦は早くも第3局。その棋譜コメントの22手目に、封じ手の書き間違い・読み間違いなどのトラブルが過去にあった、との記述がありました。控え室の雑談なので詳細は書かれていませんが。
2012年8月8日~8月9日 七番勝負 第4局 羽生善治王位 対 藤井猛九段|第53期王位戦

封じ手の書き間違いについては「封じ手を間違えた話」に書いたのですが、その時の調査から少しわかったことがありますので、その報告。


前回の調査では「昭和15年 名人八段勝抜戦(11)香落 ▲八段 塚田正夫 △名人 木村義雄」がそれではないか?と仮説を立てました。その後、運良くこの棋譜が掲載されている「菅谷北斗星選集〈観戦記篇〉」を入手できたので確認。昭和54年1月20日発行第1刷。日本将棋連盟発行です。発行者が大山康晴になっているところにも時代を感じます。並製ハードカバーで価格は2600円。1979年当時の2600円って結構な金額ですよね。

対局は昭和15年。棋譜掲載が9月3日よりとあるが、いつの対局かは明記されていません。持ち時間は各11時間です。前記事の推測通り主催は読売新聞です。本対局の棋譜は16317 塚田正夫 vs 木村義雄 1940-08-00 その他の棋戦にもあります。前回、18053 塚田正夫 vs 木村義雄 1940-00-00 その他の棋戦が掲載棋譜かと推測したのですが、それは誤りでした。


下手の塚田八段が9五歩と突いたところで封じ手(左図)。封じたのは木村名人で封じ手は9五歩でした。残念ながら、本譜は「封じ手を間違えた対局」ではなかったようです。残念。まあ、簡単にわかるような話であれば、既に先人が調べてますよね(^^;
(封じ手の状況は275頁に掲載されています)。

なお、本観戦記には木村名人の言葉として「四年振りですか。たしか南禅寺対局の少し前、やはり香落ちで戦っていますが」と書かれています(270頁)。南禅寺対局が1937年。該当棋譜は17246 塚田正夫 vs 木村義雄 1935-02-18 その他の棋戦だと思われるが、こちらは四間飛車対抗形であり間違いがあったと言われる対局(相振り飛車)とは合致しません。▲8六飛もありません。


前回これかな?と思った局面(18053 塚田正夫 vs 木村義雄 1940-00-00 その他の棋戦)(八段優勝者名人挑戦譜)の観戦記が見つからないとこれ以上の調査は難しいかもしれません。棋譜でーたべーすに載っているということは、何かの書籍に掲載されているのだとは思いますが…