振り飛車入門 (戸辺誠七段 著)

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初心者が最初にどの戦法を学んだ方が良いかは諸説あるのだが、棒銀・四間飛車・中飛車あたりが候補にあがる戦法だろう。特に角道を止める四間飛車は、ほぼ確実に美濃囲いに組むことができて乱戦になりにくく、初心者が安心して指せる戦法の一つだと思う。

ところが、実際に四間飛車を覚えてある程度指しこなせるようになるのは結構大変だったりする。初心者がこれから四間飛車を覚えようとしているのだから、対戦相手は同程度の初心者かやや強い人と当たることが多いだろう。相手は居玉原始棒銀でいきなり攻めてきたりする。当然受け損なって負けるわけだ。四間飛車勝てねーじゃん、と思ったのが覚えたてのころの私だった。

既存の四間飛車入門書は実は難しいのでは?

最初に私が買った四間飛車の本は高野秀行(当時五段)の「四間飛車がわかる本」だ。近所の書店に行って一番わかりやすい棋書を探して、たまたまこの本を買ったのが四間飛車党になるきっかけだった。書店といっても大きくはなく、十数冊ほどの中から選んだのが四間飛車の本だったのは運命としか言いようがない。その書店もいまはない。
(ジュンク堂ができたのはもう少し後で、自分のレベルにあった棋書を沖縄県内で選んで買えるようになるのは割と最近のことだったりする)。

四間飛車がわかる本は、今にして思えば当時の私の実力を超えた本だったと思う。5七銀左急戦の本で、上級者から初段ぐらいの人向けなのではなかろうか。著者の高野五段の説明はわかりやすかったが、わかりやすく説明されても難しいものは難しいのであった。

次に読んだのが「四間飛車を指しこなす本〈1〉」。これはわかりやすかった。一問一答形式なので脳内盤ができていなくても読める。繰り返し読むことでいつのまにか四間飛車が指せるようになるわけだ。この本で藤井党になって今に至る。その次は先崎九段の「ホントに勝てる四間飛車」。これは四間飛車の概要を掴むには良い本。今まで紹介した3冊の中なら、これをまっさきに読むべきであったと今では思う。

でもさ、実はこれらの本は全部四間飛車対居飛車急戦の本なわけだ。そもそもこれから四間飛車を始めるようとする人に、いきなり5七銀左急戦を教えるのがいかんのではなかろうか。対戦相手が上級者や定跡党ばかりならともかく、初心者・初級者にはもっと先に教えないといけないことがあるのではないかと思う。

これは中飛車でも同様で、初心者の中飛車党にいきなりゴキゲン中飛車の定跡を教えても困るんじゃなかろうかとか、だったら先に何を教えればいいんだよ、とか、思い悩んでいたわけだ。

戸辺七段の振り飛車入門

そんなある日、ふと本屋で見かけたのが戸辺七段の「振り飛車入門」。2014年に出た本なのだが見過ごしていたらしい。

さっそく立ち読みして衝撃を受けました。なんと第1章が「四間飛車対十枚落ち」の解説。そうか、その手がありましたか。初心者なのだから当然駒落ちになるし、10枚落ちなら原始棒銀に悩まされることもない。とにかく美濃囲いに組んで適当なタイミングで6五歩を突くことだけ覚えればいい。これはなるほど!です。ちなみに 戸部攻めの戸部七段らしい6五歩突きが見られるのも本書の面白いところだと思います。

あとは一通り詰みまで流れを解説し、積極的に角交換する四間飛車や端角対策まで一通り網羅しています。もちろん、本書だけで全てを押さえることはできませんので、概要を覚えたら必要に応じて他の本を読む必要があります。それでも、いきなり難しい本に手をだすよりも、本書で土地勘を身につけてから、自分にあった本を探すのが良いと思います。

棋書を読むことに慣れていない方、入門書の次に読む本を探している方、本書を読んで四間飛車党になりましょう!

Amazon: 振り飛車入門ホントに勝てる四間飛車四間飛車を指しこなす本〈1〉

コメント

  1. より:

    しきなさん、こんばんは。

    駒の動かし方を教える初心者向けの本はあるのですが、その次の段階の本が少ないんですよね。入門書は羽生さんのみるみる全7巻が鉄板なのですが、その次の段階にどの本を勧めるかが難しい。

    本書は駒落ちからの連続性もあるし、初心者を卒業した方向けには良い本ではないかと思います。できれば、他の戦型でもこのような本が欲しいところです。

    有段者や高段者は、わざわざ入門書を買ってレビューすることが少ないので、初心者向けの良い本は埋もれがちなんですよねえ。私もできるだけ拾うようにしたいと思います。
    初心者・初級者向けに良さそうな本があれば教えていただけると幸いです。

  2. しきな より:

    私が入門書の次に買ったのが「振り飛車入門」でした。

    買った当時は駒落ちを全く知らなかったので、入門者は他の方と対局する時どうやって実力差を埋めるのだろうと思ってましたが、駒を落としながら指していくのかと納得して読んでました。

    なので、私は駒落ちに抵抗感はありませんでした。

    それから「よくわかる四間飛車」や「四間飛車を指しこなす本」を読むようになりましたが、内容に少し開きがあると感じました。初心者から初級者までの棋力に合った棋書は中々無いんだなと実感しました。

    初心者にはお薦めの棋書ですが、あまり注目されていないと思います。内容が初心者から初級者向けで範囲が狭いためか、手放す人も多いようで今ならAmazonで安く買えます。