iOS版 i羽生将棋シリーズ サービス終了
iPhone/iPad版の将棋入門アプリである「i羽生将棋シリーズ」がサービスを終了するそうです。さまざまな事情でiOS11への対応ができなかったということですが、実に残念です。
(なお、Android版は継続とのことです)
将棋入門アプリの先駆け
i羽生将棋シリーズ第一弾の「i羽生将棋」がリリースされたのは2011年4月。このころは将棋対局アプリや詰将棋アプリはいくつか存在しましたが、初心者の方を向いたアプリは皆無でした。そもそも将棋界が初心者の方にあまり向いていなかったように思います。強くなる方向に進化しすぎた将棋ソフトの売り上げにもブレーキがかかっていました。将棋世界2011年12月号(P.168)には「コンピュータ将棋は強くなりすぎたこともあって、売り上げが大きくダウンしています」と書かれています。
将棋の対局サイトも将棋倶楽部24のような強い人の方を向いたサイトばかり。将棋クエストや将棋ウォーズが裾野を広げるのはもう少し後になります。
開発者のアイデス山口さんは以下のように語っています。
強い人達が楽しめる場所はたくさんあるので心配ありません。
そういった人たちは今後も将棋を続けてくれるでしょう。ただ、普及するというのは下手な人が増えることでもあります。
興味をもってもコテンパンにやられてばっかりでは、強くなる前にやめてしまうでしょう。
(中略)
こういったことから、興味をもった人を強くしてあげるのが最大の普及であり、
強くなりたいという気持ちにこたえてあげられるツールに、このi羽生将棋がなりたいと考えるようになりました。
強さを求める将棋ソフトの中でi羽生将棋は異色のアプリでした。将棋の強い人ではなく、将棋に興味を持った初心者をサポートすることに徹した初めてのアプリです。当時の将棋入門者には非常に好評だったと記憶しています。
当時のネットでは将棋の強い人がブログを書くのが一般的で、そのような人にはあまり理解してもらえなかった不遇のアプリでもありました。開発元に寄せられた要望からもそれが伺えます。今でこそ「弱い」ソフトの価値は認められていますが、当時はそこまで認識が深まっていませんでした。i羽生将棋はいばらの道を切り開いた先駆者です。
配信当初からいわれ続けている「対局が弱い」
(中略)
「弱い」に関してはi羽生将棋物語 で書いた通りで、
繰り返しになりますが、未だにレビューへの書き込みが続くってことは、
100回でも200回でも言っていかなきゃならんということ何でしょうね。
(中略)
ただ周りにはi羽生将棋から将棋を真面目に始めた人もそれなりにいますが、
思った以上にLv.1に勝てない人が多かったです。
逆にLv.0が必要ではないか?と思ったくらいです
将棋入門アプリは徐々に増え、以前よりも状況は良くなっています。藤井効果で入門者も増えていて、これからアプリを手に取る人も多くなるでしょう。それだけにi羽生将棋 iOS版のサービス終了は非常に残念に思います。
ダウンロード
「2017年8月1日(火)から終了までの1か月間は、アプリのダウンロードを無料で提供いたします」とのことです。iOS版i羽生将棋には入門用、定跡勉強用、手筋勉強用の3つがあります。どれも良いソフトですのでこの機会に試して見てください。
iOS版は下記からダウンロードできます。
Android版は継続して提供されます。
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