第1期豊田杯 沖縄将棋リーグ記録集

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沖縄には県産本という言葉がある。沖縄県内で出版され、そのほとんどが県内で消費されるような本だ。沖縄は高校野球人気が高いため「おきなわ野球大好き」という月刊誌まで存在する。そんな県産本の世界についに将棋の本が登場。以下、内容について簡単に紹介します。

どんな本?

豊田塾宜野湾将棋道場の3周年を記念して製作された記念誌です。119ページ。上質な紙が使われていて、重みも厚さもあります。本格的な将棋本としては沖縄県初だと思います

※ 1969年に琉球大学将棋研究クラブが「将棋研究創刊号」を発行しています。当時の学生さんの作った本ですが中々面白いです。また、囲碁は沖縄の囲碁―歴史と名局棋譜集成という本が出ています。これも一読の価値あり。


沖縄将棋リーグとは?

豊田塾宜野湾将棋道場では1年間に渡るリーグ戦を行なっており、2016年は最強A1リーグに8名が参加。総当たりによるリーグ戦が行われました。B,C級まで合わせると総勢70名が参加するリーグ戦です。2017年4月現在は2期目のリーグ戦が行われています。

豊田塾宜野湾将棋道場│「豊田塾宜野湾将棋道場」沖縄県宜野湾市、(リーグ戦のない)普段の日に道場を見学したことがありますが、県内強豪(大人も子供も)が対局していて、戦いの中に緊張感と楽しさが感じられました。

リーグ戦の模様はぷりうすさんのブログにも書かれています。


内容と感想

本書には2016年に開催された第1期リーグに参加したメンバーの自戦記やインタビュー記事などが掲載されています。


自戦記

席主曰く「これから後に続く子供や若手の参考になるような、出来るだけミスが排除された県内トップアマによる最高の棋譜を残したかった」とのこと。その自戦記をA1級リーグ参加者が各1局ずつ書いています。

※ 豊田杯A1リーグ表彰式に出席しました: ぷりうすの将棋

自戦記には、幸い、振り飛車対抗形の棋譜の棋譜がありましたので、1局並べてみました。三間飛車から玉頭銀風に銀を繰り出していく形で、私も最近勉強している戦法です。銀が出た後に5筋に飛車を振り戻すところが(私の知らなかった)定跡。なるほど、こう指せば良かったのか。いやー、参考になります。攻めと受けのバランスが私とは違うので、「なるほど、ここで受けるのか!」と思うこともしばしば。

全局並べたら私も少しは強くなれるでしょうか。

インタビュー

第1期優勝者へのインタビュー記事。優勝者にさまざまな質問をしているのですが、「初級者へはどのような勉強方法を薦めますか?」「有段者へは?」という質問も。初級者は勉強方法がわからないのが一番の困りどころ。そこを質問したのは編集長の好手ですね。回答については本書をご参照ください。

他にも「未来に羽ばたけ! こどもたち」と題してA2〜C3リーグに参加している子供達へのインタビューもあります。子供によって何を考えているかが違っていて、「ほーっ」と感心したり、「そうなのか!」と驚いたり。大会で当たる子が普段何を考えているのかが伺えて興味深い内容でした。おっさんバージョンもあると面白かったかもしれません(そんなの誰も読まない?)。


良い本ですので、もし入手できる機会があれば手にとってみてください。県内の将棋大会等で頒布されると伺っています。

編集長

本誌の編集長は人気将棋ブログのぷりうすさん。大変な作業だったと思います。編集長・編集委員の方々、関係者の皆さまに感謝いたします。

さて、ここからは(苦労を顧みずに)次作への要望。このサイトのようにネットにて情報を提供しているサイトは多いのですが、ネットの情報は意外に簡単に消えてしまいます。10年以上前の沖縄の将棋情報はネットからもほぼ消えています。

書籍として出版すれば時を超えて何十年も残る可能性があります。本書は沖縄の将棋界の記録としても大いに価値があり、願わくば第2期・第3期と続刊していただきたい。その際には同年の沖縄の大会情報(入賞者記録・来場者数)なども載せて欲しい。卒業アルバムみたいな感じで。編集長よろしくお願いします。

追記

本書について片上六段も紹介されています。同記事中で紹介されている冊子「青森将棋界の歩み」は青森県連盟が発足した1965年から昨年までの記録と棋譜が掲載されているとのこと。沖縄の記録集も欲しいところです。

コメント

  1. […] 盤外の話題。 昨日、こんな冊子を受け取りましたので、この場にてご紹介、御礼申し上げます。 (※郵便物は、連盟気付でお送りいただけると、必ず届きます) […]

  2. ぷりうす より:

    ずーさん ブログ記事に取り上げていただきありがとうございます。
    確かにネットでは情報の検索が便利なようですが、過去の情報は意外と拾えません。
    ご指摘のように本とすることでいつまでも記録として残せますね。
    第二期の続刊もリクエスト頂きありがたいのですが、まずはこの本がどのような評価を
    受けるかで判断したいと思っております、笑。
    沖縄の将棋が益々盛り上がることを期待しています。