将棋の「成り」ルールについて(2) 将棋入門書を調べてみた

2017/05/31読み物

前回「将棋の「成り」ルールについて(1)」に引き続いて「成りルールの解説」についての記事です。将棋の入門書では実際にどう書かれているのか、私の蔵書や図書館にあった棋書を調べてみました。

正しい成りルールについて

成れるのは、敵陣に(敵陣外から)入った・敵陣から出た・敵陣内での移動の3通りの場合があります。この3通りが解説されているのが正しい説明です。

前回と同じく、先崎学九段の著書から引用します。この本では敵陣から出た場合と敵陣内移動が同様に扱われていますが、3パターンを網羅した正しい解説になっています。

駒の成り方は基本的に二つあります。駒が動いて敵陣に侵入すると、裏返って成ることができる。また、すでに敵陣にいるのにまだ成っていない駒はどこへ動いても成ることができる。

正しい棋書

私が調査した範囲内では、以下の棋書は正しく解説されていました。

誤っている棋書の例

書名は伏せておきます。なお、説明として「敵陣に出入りしたとき」とある場合は入る・出る場合のみと判断しました。
敵陣に打った駒の移動による成りは書かれていても、敵陣で不成だった駒の移動での成りが明記されていないものは△としました。


出版年敵陣に入る敵陣から出る敵陣内の移動その他
書籍A1988×出入り派。移動先の無い駒の成りの図に敵陣内移動がある
書籍B2011敵陣に打った駒の移動は書かれているが、敵陣に移動して不成だった駒についての説明無し
書籍C1997×例図にも敵陣内移動の例無し
書籍D1997敵陣に入る・敵陣に駒を打って動かすの2通り
書籍E1987敵陣に入る・敵陣に駒を打って動かすの2通り
書籍F1948敵陣に出入り・敵陣に駒を打って動かすの3通り
書籍G2010敵陣に入る・敵陣に駒を打って動かすの2通り

複数の書籍(著者は別人)で同じような誤りがあります。ありがちな間違いなのか、同一の書籍の記載を参考にしたためなのか……

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