将棋と赤の女王
ここではだね、同じ場所にとどまるだけで、もう必死で走らなきゃいけないんだよ。そしてどっかよそに行くつもりなら、せめてその倍の速さで走らないとね!
上記の文章は「鏡の国のアリス」第2章の赤の女王の台詞。将棋の勉強もこれと同じだな、と最近しみじみ思いました。
最善手以外は悪手になりがちな将棋・どれを選んでも一局の囲碁
囲碁と将棋は同じジャンルのゲーム(ボードゲーム)だと思われることが多いのですが、両方遊んでみるとずいぶん印象が異なります。
「将棋の手はほとんどが悪手である」と指摘したのは羽生九段です。最近のコンピュータソフトは平均すると局面ごとに2手ぐらいしか読んでおらず、羽生九段の言葉を裏付けています。中盤の悪手一手で敗勢になってしまうことも多い。
対して囲碁の場合は上位10手のどれを選んでも勝率差は数%のことが多く、人間にとっては誤差の範囲です。
囲碁と将棋の書籍出版の差
書籍の出版状況も、先の差を裏付けています。
将棋の本は特定の戦法や局面を解説した定跡書が多く、囲碁の本は手筋に関するものが多いです。囲碁にも定石の本はあるのですが、毎月毎月新刊が出版される状態ではありません。
「新手」の重要性も異なっていて、将棋では勝敗を分ける可能性のある新手が話題になりますが、囲碁では「可能性が増えた」という扱い。ずいぶん異なります。
学び続けなければならない将棋のゲーム性
新手が重要であればあるほど、その手を知っていることの価値が高くなります。上級者になればなるほど事前研究が重要になってきます。新手を扱う雑誌・棋書も読む必要があります。コンピュータソフトが事前研究に使われるようになり、以前よりも新手が頻繁に現れます。
「常に新手を学び続けていないと相対的に弱くなってしまう」のが、将棋というゲームなのかもしれません。
ここではだね、同じ場所にとどまるだけで、もう必死で走らなきゃいけないんだよ。そしてどっかよそに行くつもりなら、せめてその倍の速さで走らないとね!
「それは遠慮したいです、後生ですから!」とアリス。
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