スイス式トーナメントについて

2019/02/21大会運営

将棋大会に限らず、大会を開催して順位を決める手段には様々な方法があります。県内の将棋大会では2勝通過2敗失格方式の予選+勝ち抜き式決勝トーナメントと総当たりリーグ戦が多く使われています。高文連ではスイス式予選+決勝トーナメントが、県内の囲碁大会では、スイス式や敗者復活ありの勝ち抜きトーナメントも使われているようです。

スイス式って何?

トーナメントとリーグ戦を合わせたような形式。参加者は複数回の対局を行いますが、他の参加者と全て当たるわけではありません。チェスのように引き分けが多いゲームやカードゲームなど運の要素が強いゲームで用いられることが多い。大相撲は修正スイス式らしいです。カードゲーム界ではスイスドローと呼ばれることが多い。

基本的には同じ勝ち数の人同士を当てていきます。最低でも全勝が1人に絞られるだけの対局数が必要です。

例: 32名参加の大会の場合

  • 1回戦で1勝0敗と0勝1敗が16名ずつになる
  • 2回戦では1勝同士、0勝同士を組み合わせる。結果、2勝0敗8名、1勝1敗16名、0勝2敗8名となる
  • 3回戦でも同様に同じ勝ち数の人を当てる。3勝0敗4名、2勝1敗12名、1勝2敗12名、0勝3敗4名となる
  • 4回戦も同様。4勝0敗2名、3勝1敗8名、2勝2敗12名、1勝3敗8名、0勝4敗2名になる
  • 5回戦も同様。5勝0敗1名、4勝1敗5名、3勝2敗10名、2勝3敗10名、1勝4敗5名、0勝5敗1名になる
(数学得意な人はパスカルの三角形を思い出そう)



5回戦で全勝が1人になるので、ここで優勝者を決めて終わっても良いが、1敗しても優勝できる可能性を残した方が盛り上がることが多い&運の要素を減らせるので、さらに数回の対局を行って順位を決めても良い。逆に3-4回戦で打ち切って、上位数人で決勝トーナメントを行なう場合もある。



下図は7人参加のスイス式の例です。7人ですので最低3回戦で良いのですが、5回戦の設定にしました。参加者が奇数の場合の処理方式には様々なバリエーションがあります(抜け番、不戦勝、もっとも早く終わった対局と当てるなど)。

(柿木さん作のスイス式トーナメント組み合わせ KSWを使っています)


スイス式は組み合わせと順位付けにいくつかの方法があります。方法ごとに利点も欠点もあります。共通する利点と問題点は以下の通りです。

利点

  • 全ての参加者が同じ回数対局できる
  • 先手後手が重要なゲームでは二回(以上)対戦することで、不公平感を減らせる
  • 対局回数は任意に決められるため、対局に必要な時間を想定しやすい(参加人数に左右されない)
  • 途中で帰ってしまう人がいたり、遅刻者がいた場合でも運営は比較的簡単

問題点

  • 大問題点:人数・回数によっては組み合わせを決めるのが非常に難しい。コンピュータソフトで組み合わせることが多い
  • N回戦が終了しないとN+1回戦の対局が組み合わせできないため、待ち時間が生じる。これを避けるために修正スイス式が用いられる場合もある
  • 参加者数に対して対局回数が少なすぎると優勝者が決められない。参加者数Nに対して最低でも log2Nを切り上げた回数は必要、できればさらに+2回。17-31人なら最低でも5回戦、32-63人なら6回戦が必要
  • 複数の人が同勝数・敗数になることがある。順位付けに勝った相手の勝ち数(ソルコフ)などを用いることが多いが、例えば同率首位の場合にそれで納得できるか
  • 途中で大差がついて、後半が消化試合になる場合がある。大会が盛り上がらなくなるかもしれない
  • 決勝戦・3位決定戦が必要な場合は、スイス式予選+決勝トーナメントなど別の方式と組み合わせるのが納得しやすい
  • 初戦で負けた方がソルコフが有利になることがある(裏街道問題)。スイス式だけで順位を決める場合に納得してもらえるか



組み合わせの決め方・順位の決定が複雑かつ透明性が低いのが、スイス式が広まっていない原因だという説もあります。これは私も同感です。

スイス式の場合には、複雑な取り決めに基づいて、対戦結果を随時的に反映させつつ、対戦組み合わせを順次的に決めていかなければなりません。この過程が複雑であり、また透明性に欠けるというのが、スイス式がそれほど広まっていない要因になっていると思われます。


考慮しないといけないこと

スイス式競技会:WCSC一次予選を例として : コンピュータ将棋基礎情報研究所から引用します。

具体的に、スイス式の実施には、以下のようなことを決めなければなりません。

  1. どの時点の勝敗数を用いるか:前回まで(完全スイス式)/前々回まで(変形スイス式、対戦中に次の組み合わせを決定可能)/3回戦のみ初回で他は前回まで(WCSC方式)。
  2. レーティングや予選順位等の事前情報を使うかどうか:モンラート式/オランダ式/マクマホン式等。
  3. 同一勝敗数内の順位の決め方。
  4. 同一勝敗数内の組み合わせ法:順接/逆接(ネスト)/隣接/間接等。
  5. 同一勝敗数内の余り者の決定と処理の方法。
  6. 過去対戦済みの組み合わせを排除するかどうか、また排除する場合には組み直しの方法。

特に、最後の部分の説明は意外と大変です。

スイス式が複雑だというのは、言い換えると、それだけルールの自由度が大きいということになります。それらの詳細なルールの組み合わせにより、それぞれどのような有利/不利が生じるのかというのは、さらに複雑な話になります。


スイス式対局組み合わせ・順位計算用ソフトウェア

組み合わせの決め方、順位の決定方式などソフトウェアによってできること・できないことがありますので、事前に入手して何度かテストを行う必要があります。

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