自分の実力をどう把握するか?

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「よその子の成長は早い」などと言われていて、時々会う親戚や友人の子はあっという間に身長が伸びて大人になるような気がするのに、自分の子供はなかなか大きくならないと感じるものだ。

将棋も同じで、時々対局する子供は成長が早いように感じる。最初は駒の動かし方から教えて、10枚落ちにも勝てなかった子があっという間に強くなっていく過程を見るのは面白い体験だ。

自分も遅いながらも少しは強くなってるはずなのだが、実感することはほどんどない。もしかしたら測定方法が悪い(測定の頻度が低く、粒度が荒い)ために、棋力の向上が実感できないのではなかろうかと最近考えている。

レコーディングダイエット

一時期流行ったダイエット方法にレコーディングダイエットがある。自分の食べたものと体重を記録していくことで、自然に体重が減少していくという方法だ。

運動にせよ勉強にせよ、記録を残して、自分が向上しているか(いないか)を把握することは重要だと思う。これは将棋の勉強にも当てはまると思う。日々の訓練とその結果を比較することで効率よく強くなれる(はず)。

強さをどうやって測るか

例えば、特定の相手と定期的に対局して勝率を測れば、相対的な棋力は測定できるはずである。以前はまったく勝てなかった相手に、少しずつ勝てるようになり、やがて勝ち越せるようになれば、棋力が向上したと考えてもいいだろう。

ところが、勝率が常に一定だったとしても自分の棋力が伸びていない証拠にはならない。相手も対局するうちに強くなるので、同じように棋力があがるとすれば勝率もさほど変わらない。

また、対戦回数の問題もある。 AとBの二人の将棋指しが10局対局してAが強いと思えるのは何勝何敗からか? 勝負は時の運なので、偶然勝ち越すこともある。そこで、信頼区間95%で計算すると、8勝2敗以上ならAが強いと考えられ、7勝3敗以下だと偶然勝ち越した可能性が残る。 毎週毎週対局していれば、勝率から細かな棋力向上も把握できるかもしれないけど、そんな対戦相手を探すのも大変だし、大人だと対局時間を捻出するのも大変だろう。

連続対戦における信頼区間の計算 : コンピュータ将棋基礎情報研究所

将棋大会の段級位認定の問題

県内の大会だと各クラスで上位に入賞すれば段級位が認定される。これも強さの目安になる。

しかし、将棋大会でもらえる段級は偶然の要素が大きい。たまたま強い人が揃っているブロックに入ったために予選落ちすることもあれば、相手のミスなどで運良く上位に進めることもある。自分が強くなったから予選通過できるようになったのか、たまたま運に恵まれただけなのかは、何度も参加しないと把握できない。大会は月に1回程度なので、何度も参加しているうちに棋力や参加者が変化してしまって、何を測定しているのかわからなくなる。

勝ち負けだけで棋力を把握するのは困難

結局のところ単なる勝敗で棋力を把握するのは無理なのだと思う。コンピュータ将棋では新しい方法論を採用したら1000対局して強くなったかを確認するそうだが、人間には無理だ。

対局で測れる強さは偶然の要素が大きく、測定にかかる手間が大きすぎるためにリアルタイムな棋力の把握には向かないのだと思う。もっと細かく・短時間で棋力を測る方法が必要なのだ。

(将棋倶楽部24で指していたころのレーティング。偶然の要素が多く、強くなっているのかどうかわからない)

詰将棋タイムアタック

将棋の強い子の勉強方法に「詰将棋本1冊を何秒で解けるか」を競う方法がある。

1手詰ハンドブックなど、自分の棋力で簡単に解ける手数の詰将棋本を使う。時間がない大人の場合は10分で何問解けるかを競っても良い。
棋力が向上すれば解く時間が短くなり、グラフ化することで自分の向上の履歴を振り返ることができる。1度の測定にかかる時間は10分〜30分程度なので毎日測定しても苦にならない。

1手詰専用のWebサイトもあるので、それを利用するのも良いかもしれない。

考えてみれば、勉強の公文式もドリルを数多く解くことで習熟と学力向上の把握を行なっているわけで、学習で有効な方法論を将棋界ももっと取り入れるべきなのだろう。

結論

チェスの勉強サイトでは、勝敗だけでなく次の一手や終盤問題の正解率の推移をグラフ化し、棋力の把握を容易にしているサイトが多い。自分が苦手なジャンルがわかるし、理解が進めば正解率があがるので棋力向上が実感できる。

残念ながら将棋ではそのようなサイトは少ない(将皇ぐらい?)のだが、パソコンやスマホがあれば記録をつけてグラフ化するのはそれほど難しい作業ではない。単に問題集を解くのではなく、記録を残すことでより効率的に棋力が向上できるのではないだろうか。